多くの人を惹きつける 下北沢の老舗

これからもこの先も
ずっと愛される下北沢の老舗へ
開発が進み、新しい街に生まれ変わった印象が強い下北沢。その一方で、変わらずに愛され続けている下北沢の代名詞のような老舗も健在で、新旧入り交じるこの街並みが、今の下北沢の魅力になっています。ミュージシャンや俳優が青春時代を過ごしたお店や場所など、下北沢には他の街にはない独特の空気感を持った老舗がいくつもあります。今回は、今に続く“下北沢らしさ”を育てた老舗の歴史とともに、時代が変わっても多くの人を惹きつけてやまない名店をご紹介します。
1927年 ▶︎ 1952年 ▶︎ 1964年
1927年
下北沢駅開業
1952年玉井屋(たまいや)下北沢

1913年に東京・本所(ほんじょ)で創業。関東大震災の折に静岡・三島へ移転した後、1952年に下北沢へ。手焼きせんべいや小ぶりなおかきは全て職人による手作り。味は代々受け継がれ、日常使いから進物用まで長年ひいきにしている方も多いそう。「最近は、滞在中に何度も来てくださる外国人旅行客の方もいらっしゃいます」と笑顔で語る、店主の木村さん。
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玉井屋 四代目店主・木村博子さん。
1964年珉亭(みんてい)下北沢

1964年から今に至るまで、リーズナブルでおいしい町中華が楽しめるお店として親しまれています。しょうゆ味の江戸っ子ラーメンや、赤く色付けたチャーシューをご飯と炒めるピンク色のチャーハンは不動の人気。カウンターを中心とした1階席と畳敷の2階席があり、連日途切れることのない来店客に「長年の常連さんから若いご新規さんまで、ありがたいことです」と語る、二代目の鮎澤さん。
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珉亭 二代目店主・鮎澤陽子さん。
1970年代〜
ロックバー、ジャズバー、ライブハウスなどが相次いで開業
1972年MOTHER(マザー)下北沢

1972年にオープン。52年にわたって愛され続けるロックバーです。多彩なアルコールやビーガン対応もある多国籍フードなどのオリジナリティーあふれるメニューを、1960年代から2000年代初頭のロックや、ブルース、パンク、ジャズやレゲエとともに楽しめます。「縄文」がテーマの古いガラスや木材をリユースした唯一無二の内装も必見。「口コミが広まり、今では世界中からお客さまが訪ねてくれます」とオーナーの山﨑さん。
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左から、オリジナルカクテルベース「MORI(モリ)」のマンゴージュース割り、フルーツたっぷりのピムズレモネード各800円。 -
MOTHER 創業者・山﨑千鶴子さんと二代目・春奈さん親子。
1975年LADY JANE(レディジェーン)下北沢

1975年から、ジャズとお酒と映画をさかなに芸術を語り合える社交場として、数多くの音楽家や俳優、作家たちにも愛されてきたジャズバー。芸術の世界を夢見る若者たちにとっては、憧れの存在でもありました。建物の老朽化により、50周年を迎える2025年春に惜しまれながら閉店へ。「アトリエのような新たに集える場を考えています。もちろんシモキタで」と語る、オーナーの大木さんの情熱は冷めることを知りません。
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LADY JANE オーナー・大木雄高さん。
1975年下北沢 LOFT下北沢

1975年創業のライブハウスで、ブルース系ミュージシャンをはじめサザンオールスターズや中島みゆきなども出演、数々の有名ミュージシャンがここから育っていきました。タモリの東京初進出ライブもここで行われたとか。今年は創業50周年イベントも開催予定。「敷居が高いと思われがちですが、若い人を応援しているのでアマチュアの出演も大歓迎。ここで、ブレイク前の新しい才能を見守ってきました」とオーナーの長沢さん。
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下北沢LOFT オーナー・長沢幹夫さん。
1979年
1980年トロワ・シャンブル下北沢

古くから喫茶店文化が根付く下北沢でも、名店の一つに挙げられるお店です。一枚板の重厚なカウンターやその奥の棚に並ぶ美しいフォルムのコーヒーカップなど、こだわりが垣間見える店内で味わえるのは、ネルドリップ式で淹れるコーヒー。「ブレンドは、熟成豆を深煎りにしたニレと苦味の少ないカゼ。1980年の開店当時から変わらぬ味を目指しています」と店主の松崎さん。
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トロワ・シャンブル 店主・松崎寛さん。 -
ブレンドコーヒーとチーズケーキのセット950円。チーズケーキはレアとベイクドから選べる(写真は、ニレブレンドとレアチーズケーキ)。
シモキタ小劇場カルチャーの起点
1981年ザ・スズナリ下北沢

下北沢に8つの劇場を持つ本多劇場グループの中で、一番最初に誕生した歴史的な劇場。元は俳優の稽古場でしたが、1981年に小劇場に改装し、近年はお笑いライブなども開催しています。味のある建物の2階部分が劇場で、1階の「鈴なり横丁」には飲食店が軒を連ねます。
1982年本多劇場下北沢

ザ・スズナリの1年後にオープンした、東京の小劇場の中心的存在であり、「演劇の街・下北沢」の礎を築いた演劇専用の劇場です。舞台が見やすいように傾斜のある客席は、全386席。柄本明氏率いる劇団東京乾電池など、人気劇団の公演に多く利用されています。
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加藤健一事務所2024年5月『二人の主人を一度に持つと』。

「芝居の魅力は“生”。役者と観客の生な交流をぜひ楽しんでほしい。下北沢は小さな飲み屋がたくさんあるので、芝居の熱が冷めぬうちに街に繰り出し、芝居談議に興じてみて!役者が隣で飲んでるようなところも、下北沢らしい風景だよね」と語る、いまだ現役で舞台に立つ本多さん。
1982年フラッシュ・ディスク・ランチ下北沢

1982年創業のレコード専門店のパイオニア。BGMにLPレコードを使うお店が多い下北沢でも一目置かれる存在です。扱うジャンルがソウルやヒップホップ、ロックにジャズ、往年のジャパニーズポップスまでと幅広いのも特徴。SNSで知ったという来店客も増えていますが「写真を撮るためだけはお断り。これぞという一枚に出会いたい人に来てほしい」と、店主の椿さん。レコード愛あふれる名店です。
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フラッシュ・ディスク・ランチ 店主・椿正雄さん。
2013年
下北沢地区の地下化完成
2022年下北線路街完成

下北沢の人々や文化という個性を大切に、小田急電鉄がそれを支援するかたちでできたのが、新しい街「下北線路街」。
※2024年12月26日現在の情報です。最新の情報をご確認ください。
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